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今年の税理士試験がどんな問題だったのか気になって資格学校が公表している解答例を見ていたら、 理論問題の問1が親子会社間の無利息貸付けと土地の簿価譲渡問題、問2が貸付債権の一部放棄と現物出資問題で、 いずれも法人税法22条②項を絡めた問題で、時価と簿価のずれを処理する問題でした。
試験問題を読んで連想したのは最近の旺文社事件(平成19年確定判決)と、
たいていの税法の教科書に掲載されている親子会社間の無利息貸付けの清水惣事件(昭和53年)でした。
旺文社事件とは含み益のある株式をオランダ法人に現物出資し、
その後オランダ法人が第三者割当増資をして含み益を他法人に順次移転させるものでした。旺文社事件の争点が法法22条②項
「無償による資産の譲渡」の適用でした。
東京地裁平成12年(行ウ)第69号 平成13年11月9日判決(納税者勝訴)
東京高裁平成14年(行コ)第1号 平成16年1月28日判決(納税者敗訴)
最高裁平成16年(行ヒ)第128号 平成18年1月24日判決(納税者敗訴、評価方法一部差戻し)
東京高裁平成18年(行コ)第31号 平成19年1月30日判決(株式純資産評価における法人税相当控除)
法法22条②項の「無償による資産の譲渡」は受贈する法人側の受贈益課税問題ですが、一方では贈与する法人側の寄附金課税(法法37条)
を伴うので、設問も贈与法人と受贈法人の両方の課税問題を問う形になっていました。このような問題が出題されるということは、
フローであれストックであれ又国外との関係であれ、
資産価値の移転に対する課税強化という意味においては旺文社事件は大きな意味のある事件だっということのような気がします。
金銭債権の現物出資による資本金の組み入れ問題(デット・エクイティ・スワップ)については、
改正前は券面説もあって両説OKだったから試験問題には不向きだったのでしょうが、新会社法(平成18年5月施行)
を受けて法人税法の平成18年度・
平成19年度の改正で時価評価で行うことが明文化されていますから時価による資本組み入れが原則となったので試験向きになったのでしょう。
法人税法の試験だから「時価」評価が済んだ前提で解答するのか、一歩踏み込んで会社法や会計基準まで触れるのでしょうか。設問だと
「業績不振の取引先であるE社の倒産を防止するため、合理的な再建計画の定めるところ」の設定だから、
金融商品に関する会計基準でいう当該債権は「貸倒懸念債権」で帳簿価額と時価のずれの問題を含んでいます。
債権の回収可能性の算定の恣意性を排除するには会社法第207条(現物出資財産の調査)
で検査役の価額調査を受けて回収可能性から時価を決めるのだろうと思います。
現物出資の受け入れに当たっては、E社債務者は自ら期限の利益を放棄(民136条②項)することで弁済期を確定させます。現物出資により、
受入会社E社に帰属した貸付金と既存の借入金が同一人に混同(民520条)したことで消滅し、帳簿価額と時価(現物出資相当)
のずれは債務免除益としてE社は当期の益金に計上しなければなりません。細かなところかも知れませんが、
損益取引の原因を混同ではなく相殺と説明したらどのような採点になるのでしょうか。むしろ損益発生原因は説明しない方がいいのでしょうか。
学校の入試であれ資格試験であれどんな試験でも合否ラインぎりぎりの1点の層には何百人と受験生が集中しているから、
些細なことですが気になります。
毎年の税制改正は必ずといって良い程試験に出ますが、 昨今では重要な意味のある租税裁判事例も横目で見ておかなければならないような感じがします。 試験と実務が全く乖離していた時代からみると今昔の感ありです。(た)
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